派遣の契約更新を断るには?更新しないと伝えるタイミングと注意点
「派遣の契約更新を断っても大丈夫?」
「更新しない場合、いつまでに担当者へ伝えればいい?」
「契約満了で辞めるのに理由は必要?」
派遣で働いていると、契約更新の時期にこうした悩みが出てくることがあります。
私は派遣業界で20年以上働き、派遣スタッフのフォロー、採用、現場管理、総務人事、管理職などを経験してきました。
最大で約250名の派遣社員を担当・管理した経験があります。
その中で何度も、
「次回の契約は更新しません」
という相談を受けてきました。
私が実際に受けた相談では、更新しない理由として多かったのは、
1位:正社員への転職
2位:家庭事情
3位:体力面
でした。
契約を更新しないこと自体を必要以上に怖がる必要はありません。
ただし、
「契約満了で更新しない」のと「契約途中で突然辞める」のでは、派遣会社側の対応は大きく違います。
特に避けてほしいのが、契約満了の数日前になって突然、
「次は更新しません」
と伝えることです。
この記事では、派遣会社側で20年以上働いてきた経験から、
派遣の契約更新を断るタイミング、担当者への伝え方、更新しない場合に確認しておきたいこと
を解説します。
派遣の契約更新は断ってもいい?
まず知っておいてほしいのは、
現在の契約期間が終わった後の契約を更新するかどうかと、現在の契約期間の途中で退職することは分けて考える必要がある
ということです。
有期労働契約は、契約期間を定めて締結する労働契約です。
厚生労働省も、有期労働契約について「契約期間が過ぎれば原則として自動的に労働契約が終了する」と説明しています。
一方、反復更新など一定の事情がある場合の雇止めについては別のルールがあります。
そのため、
「契約更新を断る」
「契約途中で辞める」
「派遣先との派遣契約が終了する」
を全部同じものとして考えないことが大切です。
「1か月前に言えば絶対大丈夫」とは限らない
インターネットでは、
「派遣は1か月前に言えば辞められる」
という説明を見かけることがあります。
しかし、すべての派遣社員について一律に、
「本人が更新しない場合は法律上必ず1か月前まで」
という単純な話ではありません。
まず確認してほしいのは、
自分の雇用契約書・労働条件通知書・就業規則などです。
更新についてどのように定められているのか確認してください。
そのうえで、更新しないと決めているのであれば、できるだけ早く派遣会社の担当者へ相談することをおすすめします。
私が実際に担当していた中では、
契約満了の1か月前〜3か月前
くらいに意思を伝えてくる人が多くいました。
派遣会社側から見ても、このくらいの時期に相談してもらえれば、その後について話し合いやすくなります。
なぜ早めに伝えた方がいいのか
理由は単純です。
派遣社員一人の契約が終了する場合でも、その後にはさまざまな対応があります。
本人との確認。
派遣先との調整。
後任についての検討。
有給休暇の確認。
貸与品の返却。
次の派遣先を希望する場合は仕事探し。
こうした対応が必要になる場合があります。
だから私は、
更新しないと決めているなら、早めに担当者へ伝えてほしい
と思っています。
実際に困ったのは「契約満了数日前」の連絡
私が派遣管理をしていた中でも、
「もっと早く相談してほしかった」
と思ったケースがあります。
それが、
契約満了の数日前になって突然「更新しません」と言われたケースです。
本人としては、
「契約が終わるのだから問題ない」
と思っていたのかもしれません。
しかし派遣会社側では、派遣先との調整などが必要になることがあります。
もちろん、事情は人それぞれです。
突然家庭の事情が変わることもあります。
転職先が急に決まることもあります。
だから、
「直前に言った人が悪い」
と単純に言いたいわけではありません。
ただ、以前から更新しないと決めていたのであれば、
契約満了直前まで黙っているメリットはほとんどありません。
早めに相談した方が、本人にとっても派遣会社にとっても、その後を整理しやすくなります。
派遣社員が契約を更新しない理由1位「正社員への転職」
私が経験した中で一番多かったのが、
正社員への転職
です。
派遣として働きながら転職活動をして、
正社員としての採用が決まった。
そのため次回の派遣契約は更新しない。
これは珍しいことではありませんでした。
私は、
派遣を一生続けなければならないとは考えていません。
派遣は、自分に合った仕事を探したり、経験を積んだりするための一つの働き方です。
正社員を目指している人が派遣で経験を積み、その後正社員へ転職する。
これも一つのキャリアだと思います。
ただし、転職活動をするときには、
現在の契約満了日と新しい会社の入社日
を確認してください。
2位は「家庭事情」
次に多かったのが家庭事情です。
家庭環境は変わります。
家族の仕事。
子育て。
介護。
引っ越し。
さまざまな事情があります。
今まで交替勤務ができていたけれど難しくなった。
残業ができなくなった。
勤務地を変えなければならなくなった。
こうした場合、
必ずしも「派遣そのものを辞める」しか選択肢がないとは限りません。
担当者へ早めに相談すれば、
勤務時間を変更できる仕事。
自宅から近い派遣先。
別の勤務形態。
などを探せる可能性があります。
3位は「体力面」
製造系の派遣では、体力面を理由に更新しないという相談もありました。
立ち仕事。
交替勤務。
夜勤。
残業。
暑さ・寒さ。
仕事内容によって身体への負担は違います。
「もう続けられない」
と思ってから無理を重ねるより、
担当者へ相談してほしいと思います。
仕事内容や勤務時間によっては、
配置変更。
勤務時間変更。
別工程。
別の派遣先。
などを検討できる場合があります。
無理を続けることだけが選択肢ではありません。
「更新しません」と言われたら引き止めることもあった
私は派遣社員から、
「次回は更新しません」
と言われたとき、理由によっては別の方法を提案することがありました。
例えば、
配置変更。
給与についての相談。
勤務時間の変更。
別の派遣先の紹介。
です。
これは無理に引き止めるという意味ではありません。
辞めたい理由が解決できるのであれば、
「辞める以外にも選択肢がありますよ」
と提案するためです。
例えば、
仕事内容が合わないなら配置変更。
勤務時間が難しいなら勤務時間の変更。
現在の派遣先が合わないなら別の派遣先。
という方法です。
本人がそれでも契約満了で終了したいのであれば、その意思を尊重して手続きを進めます。
契約更新を断るときの伝え方
難しく考える必要はありません。
例えば、
「現在の契約満了をもって、次回の契約は更新しないことを考えています。今後の手続きについて相談させてください」
これで十分です。
理由を聞かれたら、
「正社員への転職を考えています」
「家庭事情で現在の勤務時間を続けることが難しくなりました」
「体力的に現在の仕事を続けることが難しいと考えています」
など、必要な範囲で事実を伝えればいいと思います。
感情的に、
「もう絶対辞めます」
「明日から行きません」
とするより、
契約満了日と今後について担当者と整理する
ことが大切です。
派遣を辞めたい!契約途中でも辞められる?退職前に確認すること
契約更新を断る前に確認したい7つのこと
更新しないと決めたら、私は次の点を確認してほしいと思います。
①現在の契約満了日
まず正確な契約期間を確認してください。
②更新に関する契約上の取り扱い
雇用契約書、労働条件通知書、就業規則などを確認します。
③担当者へいつ伝えるか
更新しない意思が固まっているなら、直前まで待たず早めに相談します。
④次の仕事
収入が途切れると困る場合は、次の仕事についても考えておきます。
⑤有給休暇
残っている有給休暇があるなら、取得について早めに派遣会社へ確認します。
⑥貸与品
制服、社員証、入館証、ロッカーキー、セキュリティカード、工具や保護具など、会社や派遣先から借りているものを確認します。
⑦退職後に必要な書類や手続き
離職票など必要となる書類や、社会保険等の手続きについて派遣会社へ確認してください。
特に貸与品については、
「最終日にまとめて考えればいい」
と放置しない方がいいでしょう。
契約満了と契約途中の退職はかなり違った
派遣会社側として対応していて、この違いは大きく感じました。
契約満了で終了する人は、ほとんどの場合、円満に終了していました。
事前に本人と話をする。
派遣先へ伝える。
最終日を確認する。
貸与品を返却する。
必要な手続きをする。
こうした流れを整理しやすいからです。
一方、契約途中で突然辞めるケースでは対応が増えることがありました。
派遣先への説明。
本人への連絡。
貸与品の回収。
退職手続き。
場合によっては本人と連絡が取れない。
貸与品が返却されない。
こうしたこともありました。
だから、
「契約更新しない」と「契約途中で辞めたい」は分けて考えてください。
現在の契約期間が残っている状態で辞めたい人は、契約途中の退職について別に確認する必要があります。
派遣会社側から「更新なし」と言われることもある
ここまでは派遣社員側から更新を断る場合について説明しました。
逆に、
派遣会社側・派遣先側の事情から、次回の就業継続が難しくなるケース
も経験しました。
私が実際に見てきた中では、
1位:出勤率
2位:勤務態度
3位:仕事の習熟度
4位:生産減
などがありました。
ただし、これらは私が実務上経験したケースの順位であり、
すべての派遣会社や派遣先に当てはまる統計ではありません。
①出勤率
私の経験では非常に多かった理由です。
欠勤。
遅刻。
早退。
特に連絡なしの欠勤。
こうした状況が続けば、派遣先から相談を受けることがありました。
製造現場などでは、一人欠勤すると工程や周囲の人員配置に影響する場合があります。
だからこそ、休まざるを得ない場合でも、
決められた方法で連絡すること
は重要です。
②勤務態度
勤務態度について相談を受けることもありました。
ここでいう勤務態度とは、単に、
「明るい人」
「おとなしい人」
といった性格の話ではありません。
職場のルールを守る。
指示を確認する。
必要な報告をする。
安全上の決まりを守る。
周囲と仕事に必要なコミュニケーションを取る。
といった、実際の仕事上の行動です。
③仕事の習熟度
仕事を覚えるスピードには個人差があります。
だから、
「覚えるのが遅い=更新されない」
という単純な話ではありません。
しかし、一定期間教育を行っても必要な業務の習得が難しい場合など、派遣先から相談を受けるケースはありました。
この場合も、
教育方法。
配置。
仕事内容。
本人の適性。
など複数の要素を確認する必要があります。
④生産減
これは本人の努力だけではどうにもならないケースです。
製造現場では、
生産量が減った。
受注が減った。
工程が縮小された。
人員が余るようになった。
といった事情から、派遣就業の継続に影響が出ることがあります。
つまり、
更新されない=本人に問題があった
とは限りません。
ここは必ず切り分けて考えてください。
派遣会社側から「更新なし」と言われたら理由を確認する
突然、
「次回は更新できません」
と言われたら不安になると思います。
まず、
なぜ更新されないのか
を派遣会社へ確認してください。
なお、使用者側が有期労働契約を更新しない、いわゆる「雇止め」については一定のルールがあります。
厚生労働省の基準では、契約を3回以上更新している場合や、雇入れから1年を超えて継続勤務している場合など一定の有期契約について、あらかじめ更新しないことが明示されている場合を除き、使用者が更新しない場合は原則として契約満了日の30日前までに予告することが求められています。
また、対象となる労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合、使用者には交付に関するルールがあります。
ただし、個々の契約状況によって扱いは異なります。
「派遣だから必ず30日前」
「30日前に言われなかったから必ず違法」
と単純に判断せず、自分の契約内容や更新状況を確認してください。
派遣先との契約終了と自分の雇用契約を混同しない
ここも非常に重要です。
派遣で働く場合、
派遣会社と自分との労働契約
と、
派遣会社と派遣先との労働者派遣契約
があります。
この2つを同じものとして考えないようにしてください。
「今の派遣先で働けなくなる」
ことと、
「派遣会社との雇用関係がどうなるか」
は必ずしも同じ意味ではありません。
現在の派遣先での就業が終了すると言われた場合は、
「派遣会社との雇用契約はどうなりますか?」
「次の派遣先を紹介してもらえますか?」
と担当者へ確認してください。
更新を断る前に「次の仕事」を考えておく
私が特に伝えたいことの一つです。
次の仕事を決めてから動く。
もちろん、すべての人が先に次の仕事を決められるわけではありません。
家庭事情などで、一度仕事を離れる必要がある人もいます。
しかし、
「今の仕事が嫌だから、とにかく更新しない」
だけで決めてしまうと、
契約終了後に収入がなくなる可能性があります。
特に、
給与が不満。
仕事内容が不満。
勤務時間が不満。
といった場合は、まず担当者へ相談してみてください。
別の派遣先を紹介できるかもしれません。
勤務条件を変更できるかもしれません。
配置を変更できる可能性もあります。
更新しない=派遣会社そのものを辞めなければならない
とは限らないケースがあります。
感情的に辞めない
仕事をしていれば、
「もう辞めたい」
と思う日はあります。
上司に注意された。
仕事で失敗した。
人間関係で嫌なことがあった。
疲れた。
その日の感情だけで、
「更新しません」
と決めてしまうのはおすすめしません。
一度、
なぜ辞めたいのか
を書き出してみてください。
仕事内容なのか。
人間関係なのか。
給与なのか。
勤務時間なのか。
体力なのか。
将来性なのか。
原因が分かれば、
辞める以外の方法が見つかることもあります。
契約更新を断るなら早めに担当者へ相談する
私が派遣社員の管理をしてきた経験から、更新を断りたい人へ伝えたいことはシンプルです。
早めに担当者へ伝えてください。
そして、
感情だけで決めない。
次の仕事を考える。
有給休暇を確認する。
貸与品を確認する。
この4つは特に大切です。
契約満了で終了する場合、事前にきちんと話ができていれば、私が担当したケースの多くは円満に終了していました。
辞めること自体より、
どう辞めるか
の方が重要だと私は考えています。
まとめ|契約更新を断るなら「早めに・冷静に・次を考える」
派遣の契約更新を断ることを必要以上に怖がる必要はありません。
私が20年以上派遣業界で働いてきた中でも、
正社員への転職。
家庭事情。
体力面。
さまざまな理由で契約を更新しない人を見てきました。
大切なのは、
契約満了日を確認する。
契約書・就業規則等を確認する。
早めに担当者へ相談する。
次の仕事を考える。
有給休暇や貸与品を確認する。
ことです。
そして、
契約満了で更新しないことと、契約途中で突然辞めることを同じにしない。
ここは覚えておいてほしいと思います。
私が担当した中では、契約満了まで働き、事前に更新しない意思を伝えてくれた人の多くは、円満に終了していました。
正社員へ転職する。
家庭を優先する。
体力に合った仕事へ変える。
違う派遣先へ行く。
働き方を変える。
契約を更新しないことは、
次の働き方を選ぶ一つのタイミング
でもあります。
今の感情だけで判断するのではなく、
「これから自分はどう働きたいのか」
を考えたうえで決めてください。

