営業は話すより聞く!お客様の本音を引き出す質問10選
「営業だから、うまく話さなければ」
「商品知識を全部説明しなければ」
「沈黙したら気まずいから、とにかく話そう」
営業を始めたばかりの頃ほど、こんなふうに考えてしまうことがあります。
しかし、本当に売れる営業とは「話がうまい人」なのでしょうか?
私は営業に関わる仕事を経験する中で、営業では話すこと以上に「聞くこと」が重要だと考えるようになりました。
なぜなら、お客様が何を求めているのか分からなければ、どれだけ商品の魅力を説明しても的外れになる可能性があるからです。
例えば、お客様が価格を一番気にしているのに、機能の説明を20分続けても響かないかもしれません。
逆に、
「今、一番困っていることは何ですか?」
という質問から、
「実は価格より○○で困っていて……」
という本音が出てくれば、提案は大きく変わります。
営業は説明大会ではありません。
質問する → 聞く → 理解する → 提案する。
今回は営業初心者や営業成績に悩んでいる人に向けて、私が重要だと考える**「お客様の本音を引き出す質問10選」**を紹介します。
明日の営業から使えるように、具体的な会話例も入れて解説します。
なぜ営業は「話す」より「聞く」ことが大切なのか?
営業担当者には商品知識が必要です。
商品の特徴。
料金。
他社との違い。
メリット。
デメリット。
契約方法。
これらを理解していなければ、お客様へ適切な説明はできません。
しかし問題があります。
商品を知っていることと、お客様を知っていることは別です。
営業担当者が商品について100%理解していても、目の前のお客様が何を求めているのか分からなければ、適切な提案はできません。
例えば車を販売するとします。
同じ車を検討している人でも、
「子どもが生まれるから広い車が欲しい」
「燃料代を下げたい」
「通勤用なので価格を抑えたい」
「休日に家族で旅行したい」
「今乗っている車の車検が近い」
など、購入理由は違います。
つまり、最初にやるべきなのは、
「この車はすごいんです!」
と説明することではありません。
「なぜ車を探しているのか?」を知ることです。
ここが分かると、営業は一気にやりやすくなります。
営業で本音を引き出す質問10選
ここから具体的な質問を紹介します。
大切なのは10個全部を順番に聞くことではありません。
お客様との会話に合わせて必要な質問を選びます。
質問攻めにならないよう注意してください。
質問①「今日はどのようなことでお考えですか?」
最初は広い質問から始めます。
いきなり、
「ご予算はいくらですか?」
「いつ契約しますか?」
と聞かれると、お客様は警戒することがあります。
そこで、
「今日はどのようなことでお考えですか?」
と、まずお客様自身に話してもらいます。
会話例
営業:
「本日はありがとうございます。まず、今日はどのようなことでお考えですか?」
お客様:
「今使っているものが古くなってきたので、そろそろ交換しようかなと思って」
営業:
「なるほど。ちなみに今のものはどのくらいお使いなんですか?」
この質問から会話を広げます。
最初から売ろうとするのではなく、
お客様が来店・問い合わせ・相談した理由を知る
ことが目的です。
質問②「今、何か困っていることはありますか?」
営業で非常に使いやすい質問です。
商品を購入する背景には、何らかの不満や課題が隠れていることがあります。
例えば、
「料金が高い」
「時間がかかる」
「使いにくい」
「古い」
「対応が悪い」
「人手が足りない」
などです。
ここが分かれば提案しやすくなります。
会話例
営業:
「今お使いのサービスで、何か困っていることはありますか?」
お客様:
「特に問題はないかな」
ここで、
「そうですか」
と終わらせないことがポイントです。
営業:
「ありがとうございます。では、もし一つだけ改善できるとしたら、どんなところでしょうか?」
こうすると別の答えが出ることがあります。
一回目の回答が必ず本音とは限りません。
ただし、無理に聞き出そうとする必要もありません。
質問③「なぜ、それを変えようと思ったのですか?」
非常に重要な質問です。
お客様が商品を探している。
サービスの説明を聞いている。
見積もりを依頼している。
そこには何か理由があります。
その理由を深掘りします。
例えば
「車を買い替えたい」
なら、
「なぜ今、買い替えようと思ったんですか?」
と聞きます。
すると、
「車検が近いから」
「子どもが増えたから」
「故障が増えたから」
「燃費が悪いから」
などの答えが出てきます。
ここで重要なのは、
「欲しい商品」ではなく「欲しくなった理由」を知ること。
理由が分かれば、提案の軸が見えてきます。
質問④「一番改善したいことは何ですか?」
お客様には複数の要望がある場合があります。
価格を下げたい。
品質も上げたい。
納期も早くしたい。
サポートも欲しい。
しかし、すべてを100%満たせるとは限りません。
そこで優先順位を確認します。
会話例
営業:
「いくつかご希望を伺いましたが、この中で一番改善したいことはどれでしょうか?」
お客様:
「やっぱり毎月の費用かな」
ここまで分かれば、
価格を中心に提案すべきお客様
だと分かります。
逆に、
「多少高くてもサポートを重視したい」
という人なら、価格だけを強調しても響かないでしょう。
営業側が勝手に優先順位を決めない。
お客様自身に聞く。
これが重要です。
質問⑤「理想としては、どうなれば一番いいですか?」
困りごとだけでなく、
理想の状態
も確認します。
例えば、
「今の車が狭い」
という悩みがあったとします。
営業:
「次の車では、どんな使い方ができたら理想ですか?」
お客様:
「家族4人で荷物を積んで旅行に行けるくらいですね」
これで単に、
「広い車が欲しい」
から、
「家族4人で旅行できる車が欲しい」
まで具体化されました。
営業で大切なのは、
問題だけを見るのではなく、問題が解決した先を見ること
だと思います。
質問⑥「これまで何か試したことはありますか?」
これは特に法人営業や課題解決型の営業で使いやすい質問です。
お客様が困っているからといって、何もしていないとは限りません。
すでに別の商品を試した。
別会社へ相談した。
社内で改善した。
でも解決しなかった。
という可能性があります。
会話例
営業:
「その問題について、これまで何か対策されたことはありますか?」
お客様:
「以前、別のサービスを導入したんですが、あまり改善しなくて」
ここから重要な情報が出てきます。
営業:
「どの部分が期待と違いましたか?」
この回答が分かれば、
同じ失敗を繰り返さない提案
ができます。
競合他社を批判する必要はありません。
重要なのは、お客様が過去の選択で何に不満を感じたのかを理解することです。
質問⑦「選ぶときに一番重視することは何ですか?」
営業では非常に重要な質問です。
お客様によって購入基準は違います。
価格。
品質。
納期。
デザイン。
アフターサービス。
会社の信用。
担当者。
ブランド。
何を優先するかは人によって違います。
だから聞きます。
「今回選ばれるうえで、一番重視されるポイントは何でしょうか?」
これだけでも提案内容を変えられます。
価格重視のお客様
価格と費用対効果を中心に説明する。
サポート重視のお客様
購入後の対応を説明する。
品質重視のお客様
耐久性や品質管理について説明する。
つまり、
お客様の評価基準に合わせて説明する
ということです。
質問⑧「いつ頃までに決めたいとお考えですか?」
営業ではタイミングも重要です。
今すぐ必要なのか。
来月なのか。
半年後なのか。
情報収集だけなのか。
これによって営業方法は変わります。
会話例
営業:
「ちなみに、いつ頃までに決めたいとお考えですか?」
お客様:
「まだ急いでなくて、年内くらいかな」
それなら、
「今日契約してください」
と迫る必要はありません。
むしろ、
「では一度資料をご覧いただいて、来月また状況をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
と次の接点を作れます。
営業では、
買うか・買わないかだけではなく、いつ買うのか
も重要な情報です。
質問⑨「何か不安に感じていることはありますか?」
商談が進んできたときに使いたい質問です。
お客様が商品に興味を持っていても、契約しない理由があります。
価格が不安。
本当に効果があるか不安。
家族に相談したい。
上司の承認が必要。
他社とも比較したい。
購入後のサポートが心配。
しかし、お客様から自発的に全部話してくれるとは限りません。
そこで、
「ここまでお話しして、何か不安に感じる部分はありますか?」
と聞きます。
「特にありません」で安心しない
「特にないです」
と言われても、必ずしも購入するとは限りません。
例えば、
「ありがとうございます。逆に、決めるとしたらもう少し確認しておきたい部分はありますか?」
と聞く方法もあります。
ここで出てきた不安を解消することが、
クロージング前の重要な仕事
になります。
質問⑩「次に進めるとしたら、何を確認できれば判断できますか?」
最後は、契約を無理に迫るのではなく、
判断に必要な条件を確認する質問
です。
これは私が営業で非常に大切だと思う考え方です。
会話例
営業:
「もし次に進めるとしたら、あと何を確認できればご判断いただけそうですか?」
お客様:
「最終的な金額かな」
それなら、
「では正式なお見積もりを作成します」
と次へ進めます。
別のお客様なら、
「家族に相談したい」
かもしれません。
法人なら、
「上司の承認が必要」
かもしれません。
つまり営業担当者が、
「契約してください」
と言う前に、
お客様が決められない理由を確認する
ということです。
これが分かれば、次に何をすればいいかが見えてきます。
本音を引き出したいなら「なぜ?」を連発しない
質問は重要です。
しかし、質問の仕方を間違えると尋問のようになります。
例えば、
「なぜですか?」
「それはなぜですか?」
「どうしてですか?」
「理由は何ですか?」
と連続して聞かれたらどうでしょう。
少し圧迫感があります。
そこで言葉を変えます。
「何かきっかけがあったんですか?」
「具体的にはどのあたりでしょうか?」
「もう少し詳しく聞いてもいいですか?」
「例えばどんなときに感じますか?」
「特に気になる部分はありますか?」
質問の意味は似ていても、印象は変わります。
質問力とは、質問の数ではなく「相手が話しやすい聞き方」を作る力
だと思います。
営業でやってはいけないNG質問
質問すれば何でもいいわけではありません。
特に注意したいのが、
自分が売りたい方向へ誘導する質問
です。
例えば、
「こちらの方がお得ですよね?」
「この機能は必要ですよね?」
「今決めた方がいいと思いませんか?」
これでは、お客様の本音を聞く質問ではなくなります。
また、答えてもらった内容を否定するのも避けたいところです。
お客様:
「価格が一番重要です」
営業:
「でも価格だけで選ばない方がいいですよ」
これでは、
「だったら、なぜ聞いたの?」
となってしまいます。
まず受け止める。
そのうえで必要な情報を提供する。
この順番が重要です。
「質問したら黙る」ことも営業スキル
意外と難しいのが、
質問したあとの沈黙
です。
営業:
「一番困っていることは何ですか?」
お客様:
「そうですね……」
ここで沈黙。
営業担当者は怖くなります。
そして、
「例えば価格ですか?機能ですか?サポートですか?」
と自分で答えを出してしまう。
でも、お客様は考えているだけかもしれません。
少し待てば、
「実は……」
と本音が出てくる可能性があります。
質問したら、
相手が考える時間を待つ。
沈黙を全部埋めなくてもいいのです。
お客様が話したら「もう一段だけ」深掘りする
本音を聞くために私が重要だと思うのが、
一段深掘りすること
です。
例えば、
お客様:
「価格が高いんですよね」
営業:
「そうなんですね」
だけで終わらせません。
「どのくらいになると理想でしょうか?」
「現在と比べて、どのくらい差がありますか?」
「価格以外では何か気になるところがありますか?」
と一段だけ深く聞きます。
すると、
「高い」の意味が具体的になります。
営業では、
最初の答えの奥に本当の理由がある
ことがあります。
ただし、何度も深掘りして不快にさせないことも重要です。
聞いた内容は「確認」する
営業でよくある失敗が、
聞いたつもりになっていること
です。
そこで最後に確認します。
例えば、
「ここまでのお話を整理すると、○○が一番のお悩みで、できれば△月頃までに改善したい。そして価格よりもサポートを重視されている、という理解で合っていますか?」
お客様:
「はい」
ここまでできれば、提案の方向性がかなり明確になります。
もし、
「いや、そこまで急いでないです」
と言われれば修正できます。
勝手に理解しない。
確認する。
これだけでも認識のズレを減らせます。
ヒアリングした内容を提案につなげる方法
質問だけして終わってはいけません。
聞いた内容を使って提案します。
例えば、お客様から、
「家族4人で旅行に行きたい」
「荷物が多い」
「燃費も気になる」
「予算は○○万円くらい」
という情報が出たとします。
そこで、
「こちらが人気なのでおすすめです」
ではなく、
「先ほど家族4人で旅行されることが多く、荷物も多いと伺いました。その使い方でしたら、こちらのタイプは荷室に余裕があります。また燃費も気にされていたので、この点も候補に合うと思います」
と提案します。
ここが重要です。
商品のメリットを説明するのではなく、お客様が話した内容と商品のメリットをつなげる。
これができると、
「売り込まれている」
から、
「自分に合うものを提案してくれている」
へ変わりやすくなります。
営業初心者は「質問を3つ」だけ覚える
今回10個紹介しましたが、最初から全部覚える必要はありません。
営業初心者なら、まずこの3つだけでもいいと思います。
①「今、何か困っていることはありますか?」
②「一番改善したいことは何ですか?」
③「選ぶときに一番重視することは何ですか?」
この3つから始めてください。
慣れてきたら、
「なぜ?」
「いつ?」
「何が不安?」
と深掘りしていきます。
大切なのは質問を暗記することではありません。
相手に興味を持つことです。
営業で使える質問10選まとめ
| 質問 | 知りたいこと |
|---|---|
| ①今日はどのようなことでお考えですか? | 来店・相談理由 |
| ②今、何か困っていることはありますか? | 課題 |
| ③なぜ、それを変えようと思ったのですか? | 動機 |
| ④一番改善したいことは何ですか? | 優先順位 |
| ⑤理想としては、どうなれば一番いいですか? | ゴール |
| ⑥これまで何か試したことはありますか? | 過去の行動 |
| ⑦選ぶときに一番重視することは何ですか? | 判断基準 |
| ⑧いつ頃までに決めたいですか? | タイミング |
| ⑨何か不安に感じていることはありますか? | 障壁 |
| ⑩何を確認できれば判断できますか? | 次の行動 |
この10個を上から全部質問する必要はありません。
会話の流れに合わせて使うことが重要です。
まとめ|営業は「説明する前に聞く」で変わる
営業というと、
話術。
プレゼン。
商品説明。
クロージング。
こうしたスキルに目が向きがちです。
もちろん、どれも必要です。
しかし、その前にやることがあります。
お客様を知ることです。
お客様が何に困っているのか。
なぜ変えたいのか。
何を一番重視しているのか。
いつまでに必要なのか。
何を不安に思っているのか。
これが分からなければ、適切な提案はできません。
だから私は、
営業は「話す仕事」である前に「聞く仕事」
だと思っています。
そして「聞く」とは、黙って話を聞くだけではありません。
質問する。
待つ。
深掘りする。
確認する。
そして聞いた内容を提案につなげる。
ここまでが営業のヒアリングです。
もし営業で、
「何を話したらいいか分からない」
と悩んでいるなら、発想を逆にしてみてください。
「何を話そう?」ではなく、「何を聞こう?」
明日の営業では、商品説明を始める前に一つ質問してみてください。
そして、お客様が話し始めたら、
最後まで聞いてみる。
その中に、あなたが次に提案すべき答えが隠れているかもしれません。

